睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったり、弱くなったりして、日常生活にさまざまな悪影響を及ぼす病気です。
肥満傾向のある40~60歳代の男性、閉経後の女性に起こりやすく、強い眠気などの症状が日中の社会生活に支障をきたすこともあります。
また、日本人は肥満傾向が顕著でなくとも、顔面の形の問題から、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすい人種と言われています。
ご自身では気づけないケースも少なくありません。睡眠中のいびきや無呼吸などを家族から指摘されたときには、一度当院にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の重症度は無呼吸低呼吸指数(AHI)で表し、1時間に10秒以上の無呼吸・低呼吸(呼吸が浅く・弱くなる状態)が発生する回数を示すものです。
無呼吸・低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI) 睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数 |
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正常 | <5 |
軽症 | 5≦AHI<15 |
中等症 | 15≦AHI<30 |
重症 | 30≦ |
睡眠時無呼吸症候群の原因
筋力の低下(加齢)、舌が重い(肥満)、顎の後退、扁桃肥大、軟口蓋が長い(形態的問題)といったことで、気道が狭くなったり塞がったりして起こります。
また、口呼吸をしている方は、寝ているときに舌が喉の方に落ち込み、気道を塞ぐことが多くなります。
睡眠時無呼吸症候群の症状
夜間に見られる症状
- いびきがうるさい
- 呼吸が止まる
- 寝汗がひどい
- 寝相が悪い
- 夜中に何度も目が覚める
日中に見られる症状
- 倦怠感
- 強い眠気
合併症
睡眠時無呼吸症候群になると酸素欠乏状態に陥り、少ない酸素を全身へ送るため心臓や血管に負担がかかります。
この状態が長く続くと、さまざまな生活習慣病の合併症を引き起こす可能性があります。心不全患者様においては、76%と高頻度にSASを合併しているといわれています。
検査の種類
簡易検査
指先と鼻にセンサーを取り付け、血液中の酸素濃度と呼吸の状態を調べます。
ご自宅で受けられる検査です。当院でも検査が可能ですので、お気軽にご相談ください。
ポリソムノグラフィー検査(PSG検査)
より精密な検査で、確定診断の際に行われます。
睡眠時に、指先、口と鼻だけでなく全身にセンサーを取り付けます。
ポリソムノグラフィー検査をご希望される場合には、提携する専門の医療機関をご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群の治療
生活習慣の改善
肥満を原因としている場合には、減量が有効です。当院では、管理栄養士による栄養指導と運動療法を組み合わせて減量に取り組んでいただきます。
また、横を向いて寝るといった工夫や節酒も、無呼吸の予防になります。アルコールは、寝つきが良くなることがある一方で、夜中に目が覚める、眠りを浅くするといったことの原因にもなります。
その他、薬物療法が睡眠時無呼吸症候群の治療に有効なケースも確認されています。
CPAP療法
睡眠中、CPAP(シーパップ)と呼ばれる装置から、ホースとマスクで気道に空気を送ります。気道が塞がりにくくなり、無呼吸やいびきなどの症状の改善が期待できます。
一定の基準を満たした場合には、健康保険が適用されます。
口腔内装置
下あごを前方に固定して空気の通り道を開くようにする装置を装着し就寝します。
口腔内装置の作成は、健康保険の適応になります。
手術による治療
気道閉塞の原因がアデノイド肥大や扁桃肥大などの場合には、手術で取り除くことがあります。
また、鼻閉を起こす鼻疾患は、CPAPや口腔内装置の治療を妨げるため手術が必要となる場合があります。